36協定を作成する際、「様式9号を提出すれば十分なのか」「別途、協定書を作成する必要があるのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、36協定の協定書は必ずしも別途作成しなければならないものではありません。しかし、一定の条件を満たしていない場合や、内容によっては協定書を作成しないことでリスクが生じるケースもあります。
本記事では、36協定における協定書の必要性について、実務上の取り扱いや注意点を踏まえてわかりやすく解説します。
36協定の協定書は作成必須か【結論】
36協定の協定書は、実は法令上「必ず別途作成しなければならない」とまではされていません。
実務上は、様式9号に労働者代表の押印(または適切な同意)があれば、その書面を協定書として扱うことが可能です。
ただし重要なのは、「様式9号=無条件でOK」ではないという点です。
以下のいずれかに該当する場合は注意が必要です。
- 記載内容が不十分
- 労働者代表の選出が適切でない
- 協定内容と実態が一致していない
村山花純このような場合、形式的に届出をしていても、36協定が無効と判断される可能性があります。
36協定で様式9号だけでも認められる理由
36協定については、行政解釈により「届出様式に労使の合意が明確に示されていれば、協定書として取り扱うことができる」とされています。
そのため、以下の流れで完結させる企業も多く見られます。
- 様式9号を作成
- 労働者代表が内容を確認
- 同意(押印)
- 労基署へ届出
この方法自体は違法ではありません。
しかし、これはあくまで最低限の形式を満たす方法であり、実務上のリスクを十分にカバーできるとは限らない点に注意が必要です。
36協定で必ず記載すべき事項とは
36協定には、法令で定められた記載事項があります。これらが欠けている場合、協定自体が無効となる可能性があります。
主な記載事項は以下のとおりです。
- 対象となる業務の種類および労働者数
- 協定の対象期間
- 時間外・休日労働が必要となる具体的な理由
- 延長できる時間(1日・1か月・1年)
特に注意すべきなのは、「具体性」です。
例えば、
- 「業務の都合上必要な場合」などの抽象的な記載
- 実態と乖離した時間設定
は、指摘を受けやすいポイントです。
36協定で様式9号だけでは不十分となるケース
様式9号だけで対応するのが難しい代表例が、特別条項付き36協定です。
特別条項を設ける場合、通常の36協定に加えて以下の内容を明確にする必要があります。
- 年720時間以内などの上限規制
- 月100時間未満(休日労働含む)
- 複数月平均80時間以内
- 健康確保措置の具体的内容



これらは情報量が多く、かつ内容の整合性も求められるため、様式だけで管理するのはリスクがあります。
36協定で協定書を別途作成した方がよいケース
実務上は、以下のような場合には協定書を別途作成することを強く推奨します。
・トラブルリスクを下げたい場合
残業代請求や労務トラブルの際、「どのような合意があったか」が重要になります。
・労基署対応を見据えている場合
特に昨今の調査時には、形式だけでなく合意のプロセスも確認されます。
・複雑な運用をしている場合
複数の職種や勤務形態がある場合、様式だけでは整理しきれません。
36協定が無効になるリスクとよくあるミス
以下は、実際に非常に多いNG事例です。
・労働者代表を会社が指名している
→ 無効となる可能性が高い
・管理職を代表にしている
→ 労働者代表として不適格
・周知していない
→ 労基法違反(見落としがち)・協定時間を超えて残業させている
→ 明確な違法状態
36協定のチェックリスト|協定書が不要でも注意すべきポイント
以下に1つでも該当する場合は見直しが必要です。
- 労働者代表の選出方法を説明できない
- 従業員が36協定を閲覧できない
- 実際の残業時間が協定を超えている
- 特別条項の運用ルールが曖昧
- 様式9号の記載が形式的になっている
36協定の作成は必ず社会保険労務士に相談を
36協定は「作ること」ではなく、「適法に運用すること」が重要です。
特に近年は、以下が懸念されています。
- 長時間労働の規制強化
- 労基署の監督強化
- 労務トラブルの増加



上記については、形式だけ整えている企業ほどリスクが高い傾向にあります。
「自社の36協定は本当に大丈夫か?」と少しでも不安がある場合は、早めの見直しをおすすめします。
当事務所では、36協定の適法性チェックから運用改善までサポートしております。
ぜひお気軽にご相談ください。






