「カスハラ宣言」で会社を守る ― 企業が今すぐ取り組むべき顧客対応の整備とは?

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カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客・取引先・第三者などから従業員に対して行われる、社会通念上不相当な言動のことを指します。

2022年に厚生労働省が「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を公表したことで、労務管理上の重要テーマとして広く認識されるようになりました。

具体的には、長時間にわたるクレーム電話、土下座の要求、SNSでの誹謗中傷、差別的な発言、過剰な謝罪や金銭の要求などが該当します。こうした行為は、担当者の精神的健康を著しく損なうだけでなく、組織全体のパフォーマンスや離職率にも深刻な影響を与えます。

村山花純

カスタマーハラスメントの基準は、会社ごとに設定することも大切です。

なぜ今「カスハラ宣言」が必要なのか

2024年4月に改正労働施策総合推進法が施行され、企業には職場におけるハラスメント防止措置が法律上義務付けられています。

パワハラ・セクハラに続き、カスハラへの対応も「企業の義務」として社会的に求められる時代になりました。

それにもかかわらず、多くの中小企業では「お客様の言うことは絶対」「クレームはとにかく謝罪で収める」という慣行が根強く残っています。
こうした姿勢は、従業員の心理的安全性を著しく低下させ、優秀な人材の流出につながります。

村山花純

企業がカスハラに適切に対処しなかった場合、従業員から安全配慮義務違反を問われ、損害賠償責任を負うリスクがあります。「宣言」はリスク管理の第一歩といえるでしょう。

こうした背景から、「カスハラ宣言」を対外的に公表し、従業員と顧客の双方に対して企業の姿勢を明示することが、今まさに求められています。

カスハラ宣言とは何か ― その内容と効果

「カスハラ宣言」とは、自社の従業員をカスタマーハラスメントから守るために、企業が対外的に公表するポリシーステートメントです。
「顧客対応方針」「CS対応ガイドライン」などと呼ばれることもあります。

以下、カスハラ宣言に取り組む際の2つのポイントを解説します。

宣言に盛り込むべき主な内容

カスハラ宣言を作成する際は、以下の内容を盛り込むといいでしょう。

  • カスハラと判断する行為の定義(例:暴言、長時間拘束、過剰要求、SNSへの投稿による脅し)
  • カスハラ行為を確認した場合の対応方針(警告・交渉打ち切り・法的措置の検討)
  • 従業員の心身の安全を最優先する旨のコミットメント
  • 相談窓口・報告体制の周知
村山花純

何がカスハラに該当するのか、会社の方針は何か、など、専門家と話し合いながら納得のいく内容(宣言)にしましょう。

宣言の効果

宣言を公表することで得られる効果は社内外に及びます。

社内では「会社が守ってくれる」という心理的安心感が醸成され、報告・相談がしやすくなります。
社外に対しては、不当なクレームや要求に毅然と対応するための法的・論理的根拠を持つことができます。また、採用活動においても「従業員を守る企業文化」として差別化要因になります。

カスハラ宣言の作成・公表手順

カスハラ宣言の作成・公表は、以下のステップで進めることをおすすめします。

  • 現状把握:
    過去の苦情・クレーム記録を整理し、自社でカスハラと判断すべき行為のパターンを洗い出します。
  • 社内合意の形成:
    経営層・管理職・現場担当者が一体となって方針を議論します。現場の声を反映させることが重要です。
  • 文書化:
    宣言文・顧客対応マニュアルを作成します。法的観点からのチェックも欠かせません。
  • 公表:
    自社ウェブサイト、店頭掲示、取引先への案内など、適切なチャネルを通じて対外公表します。
  • 研修・周知:
    従業員向けに、宣言の趣旨・対応フロー・相談窓口を周知する研修を実施します。
村山花純

カスハラ対策は通り一遍の対策では失敗に終わる可能性もあります。会社の実態を根本から把握できる専門家を頼ることが重要です。

宣言後に整備すべき社内体制

カスハラ宣言は、公表することが目的ではありません。宣言を「機能させる」ための社内体制整備がセットで必要です。

以下、整備しておきたい項目の例示です。

  • 対応マニュアルの整備 
  • 管理職向け研修 
  • 相談・報告窓口の設置 
  • 弁護士・社労士との連携 
  • 定期的な見直し・改訂 被害者へのメンタルケア体制
村山花純

カスハラ対策においては、カスハラを禁止することが重要なのではありません。
社内整備を徹底しましょう。

特に重要なのは、被害を受けた従業員への事後サポート体制です。
カスハラ被害はPTSDやうつ病などの精神疾患に発展するケースもあります。状況により、速やかに産業医・カウンセラーとの連携を検討してください。

村山花純

就業規則・服務規程にカスハラ対応に関する条項を盛り込むことで、法的対応の根拠をより強固にすることができます。
また、カスハラは労災問題に発展するケースも考えられますので、慎重に対応することが重要です。

カスハラついて社労士に相談すべきタイミング

カスハラ対策は、就業規則・ハラスメント規程・安全配慮義務・労災認定など、多くの労務的論点が交差する分野です。

以下のような場面では、早めに社労士へ相談することを検討しましょう。

  • カスハラ宣言・顧客対応方針を初めて作成・公表したい
  • 就業規則にカスハラ関連条項を追加・改訂したい
  • カスハラ被害を受けた従業員から相談・報告があった
  • カスハラを原因とする休職・退職・労災申請が発生した
  • 管理職・従業員向けのカスハラ研修を実施したい

カスハラ宣言の文書作成・規程整備・研修実施のご相談は、当事務所までお気軽にご相談ください。

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